PET樹脂について
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、優れた防湿特性を発揮する無色の熱可塑性プラスチックです。世界のPET生産量の約60%は、「ポリエステル」の名称で合成繊維に利用されているほか、約30%が「PET」の名称で飲料用容器や包装用途に用いられています。またPET樹脂は高い透明性を持つことから、タッチスクリーンの基材層として広く用いられています。
PET素材のレーザー加工
レーザー切断
PETはCO2レーザーで簡単に切断できますが、レーザー加工に用いるフォーカスレンズの選択に注意が必要です。ユニバーサルのレーザー加工機で一般的な2.0レンズを用いた場合、肉眼では切り口が滑らかに見えますが顕微鏡検査ではエッジの粗さが確認できます。レーザー加工に用いるレンズをユニバーサル独自のHPDFO™(High Power Density Focusing Optics、ハイパワー高密度集束レンズ)に切り替えることで、この問題は解決します(下の画像を参照)。この画像は基材にPETを用いた可とう性タッチスクリーンの加工事例です。レンズにHPDFOを用いることで、鋭く集束されたビームがHAZ(熱影響部)を減少させ、エッジを滑らかに加工できることが示されています。単にレーザー出力を上げても同じ効果は得られませんでした。
レーザーマーキング
PET素材上に視認性の高いマーキング処理を施す場合、10.6μmのCO2レーザーよりも9.3μmのレーザーが適しています。これは以下の図に示されます。
加工に用いるレーザーの波長によってマーキングの品質が異なる理由は、下の表に示されるように、PET素材の吸光度が10.6μmよりも9.3μmで増加する点にあります。