DCガラス管レーザーとRF金属管レーザーとの間には、レーザーシステムを選択する際に考慮すべき大きな違いがあります。これらについて以下で説明します。
DCガラス管レーザー
1960年代初めに発明された最初のCO2レーザーは、DCガラス管レーザーでした。その後、レーザー技術の開発テーマが周波数やメタルレーザーの設計へと移行したため、DCレーザー技術は1960年代から進展しませんでした。
DCガラス管レーザーは、レーザーガス混合物を充填した、壊れやすい吹きガラスの長い容器からできています。通常レーザー光源は、混合ガスを密閉するためガラス管に直接取り付けられて、レーザー共振器を形成します。レーザービームは、ガラス容器内のガスを高電圧DC放電によってイオン化して生成します。
DCレーザーはガラスの熱伝達が低く、高電圧の直流放電効率が低いため、連続運転を行なうためには特殊な水冷却装置が必要になります。DCガラス管レーザーを水で冷却する適切な方法は、水冷却器の使用です。冷却器は基本的に、レーザーを一定温度に保つためにガラス管レーザーの周囲に水を再循環させるポンプと冷蔵装置とを組み合わせたものです。DCガラス管レーザーは非常に高い直流電圧を使用するため、非常に危険性が高く死を招くこともあり、特に冷却水が高電圧の電子機器に接触すると非常に危険です。
時間の経過と共に、ガス容器であるガラス管および電極間で発生するDC放電は、電極の浸食による副産物と混合ガスの消耗によってレーザー混合物の汚染を引き起こします。混合ガスの汚染およびガラス壁やシーリングからのヘリウム漏出は、レーザーの効率を低下させると共に寿命を大幅に縮めてしまいます。
DCガラス管レーザーは、変調速度が非常に遅いという特徴があります。このため高電圧のDC電源を連続的にオン/オフするには限界があり、急速な変調はできません。このためレーザー加工の速度は大幅に制限され、特に高精度なレーザーパルス制御を必要とするフォトイメージング用途においては処理量が低下します。
加えてガラス管レーザーは、日常的な取り扱いや水冷の中断による熱衝撃によって損傷を受けることがあります。冷却流がレーザーに供給されない場合、ガラス容器が破損してレーザーが機能しなくなり、交換が必要となります。結果として、DCガラス管レーザーの寿命は非常に限られたものとなり、通常、数ヶ月単位での交換が必要となります。DCガラス管レーザーは再加工には適しておらず、レーザーシステムを稼働状態に戻すためには交換が必要です。
DCガラス管レーザーは繊細な装置です。レーザー材料加工システムに用いる場合は追加の冷却装置が必要となり、作業者が危険にさらされる懸念があります。また、他のレーザーよりも出力の品質は下がり、レーザー加工速度も非常に限定的な上、寿命が短くなる可能性も考えられます。
RF金属管レーザー
RF金属管レーザーには、混合ガスを密封したメタルチャンバーが備わっています。正確に制御された高周波エネルギーはイオン化ガスプラズマを作り出し、レーザービームを生成します。RF金属管レーザーの設計はコンパクトで、耐久性に優れ、空冷機能も備えられています。本来RF金属管レーザーは、要件の厳しい軍事用途向けに開発されたもので、現在も進化を続けています。最新の開発成果の一つが、500ワット空冷式CO2レーザーです。通常、このレベルの出力を持つレーザーは、水冷却器が必要です。
※BGM有
RF金属管レーザーは、さまざまな産業分野の広範な用途で広く利用されています。RF金属管レーザーは高電圧や水冷却器を利用しないため、ほぼあらゆる環境において安全に稼働させることができます。
RF金属管レーザーは所有コストの低さも特徴の一つです。RF金属管レーザーは耐久性が高く、高品質なレーザービームによって最高の性能を発揮し、長寿命な上、作業者の安全を確保できます。
レーザーシステムを検討される際は、どのタイプのレーザーが使用されているか、サプライヤに確認されることをお勧めします。